Sustained Inflation(持続的肺拡張)を呻吟・陥没呼吸のある児に試すのは合理的では?

2018年11月21日、水曜日。
本日の診療メモ。

NCPRに関する話題。

Sustained Inflation(持続的肺拡張)は、
最大吸気圧を5秒間以上かけ続け、肺の拡張を目指す方法。

出生直後の液体で満たされた硬い肺を、
しっかりとゆっくりと膨らませるという発想。

早産児の蘇生における有効性が報告されている。

出生時に呼吸窮迫を呈する早産児89例(在胎28.1±2.2週)に対して、
Sustained Inflation(25cmH2O×15秒)を実施し、
過去の119例(在胎28.1±2.0週)とその後の経過を比較。
Sustained Inflation導入後は

気管挿管の頻度が有意に減少し(51% vs 76%)、
人工呼吸管理期間も短縮(5日 vs 11日)、
サーファクタント必要性の減少(45% vs 61%)、
ステロイド全身投与必要性の減少(10% vs 25%)、
酸素投与期間の減少(21日 vs 31日)、
慢性肺疾患発生率の減少(7% vs 25%)、

が認められ、Sustained Inflation導入後が好成績。

Sustained InflationはTピース蘇生装置があれば、
簡単に施行することができる。

正期産児でも少し分娩時のストレスが強くかかると、
出生後に呻吟・陥没呼吸が遷延することがある。

こうした児に対しては、
Sustained Inflationを試してみるのは合理的だろう。

早産児での報告例では、Inflationの時間を15秒としているが、
これを長くする、あるいは複数回実施する、
というのはどうなのだろう?

症状が遷延する場合にはトライしても良いと思うが
5cmH2OでのCPAP継続のみにとどめておいた方がいいのか?

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