陰性変力作用とは、心筋の収縮性を下げる作用のこと

心筋の収縮性は,心筋固有のものではなく,様々な要因により変化する。

急性には交感,副交感神経によっても,
血中のエピネフリン,ノルエピネフリンやCaイオンなどの体液性因子や,
種々の薬物(カテコールアミン,ベーター遮断薬など)
などによっても大幅に増減する.

慢性的には力学的負荷,熱ショック,心筋虚血,
種々のホルモンその他の生理活性物質(アンギオテンシン,グレリンなど多数)
によって受容体を介して、
あるいは遺伝子発現調節を介して
心筋肥大,伸長,萎縮,アポトーシスが起き収縮性が大幅に増減する.

酸欠やシアンによってミトコンドリアでの酸化的燐酸化が低下しても
ATP産生抑制により収縮性が減ずるし,
細胞内の H イオン濃度(pH)によっても収縮性が増減する.

さらに,筋小胞体のCaポンプやCa放出チャネルの障害によっても収縮性は低下する.
収縮蛋白変性や細胞内骨格障害によっても収縮性は低下する.

心筋の収縮性を変える作用を変力作用(inotropism,inotropic action)と言う.
収縮力を上げる作用を陽性(positive)変力作用,
収縮力を下げる作用を陰性(negative)変力作用と呼ぶ.

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