2000g未満で出生した低出生体重児で新生児マススクリーニングを再検査する理由

新生児マススクリーニングの目的は、
先天性代謝異常症・内分泌異常症を新生児のうちに早期発見し、
発病させないように早期治療することによって、
障害の発生を予防することにあります。

足底からヒールカットで採血し、
血液を濾紙に採取します。

採血時期は原則として、
日齢4~6。

当院でも経産婦さんの退院は4日目なので、
日齢4に採血することも多いです。

ただし、何らかの事情でそれより早く退院する場合は、
再度上記日齢時に来院してもらい、採血することになります。

その理由は、
哺乳量が少ないと体内に吸収されるアミノ酸及び糖の量が少ないため、
陽性のものが偽陰性に判定されることがあること、
また出生直後は TSH が高く出ること、
になります。

更に、
2,000g 未満の低出生体重児は、
原則として日齢4~6で初回採血し、
さらに生後1ヶ月を経過した時期、体重が2,500g に達した時期、
医療機関を退院する時期,
のいずれか早い時期に2回目採血を行うことが推奨されています

これは、
先天性甲状腺機能低下症検査において、
低出生体重児の中には初回検査で異常がなくても、
体重が増加してからの再検査で異常が発見されることが稀にあるため
TSH 遅発上昇型先天性甲状腺機能低下症)です。

先天性甲状腺機能低下症、いわゆるクレチン症は、
2014年にガイドラインが改訂されており、
そのガイドラインによると、
出生4000人に一人という頻度と言わてきましたが、
近年はその頻度が増加している、
という報告もあるそうです。

4000人に1人でも、決して珍しい疾患ではありませんし、
疑わしい症例を早期発見し適切なフォローを
受けられるようにすることは重要です。

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