2018年11月20日火曜日。
本日の日常診療メモ。
ここ1ヶ月間で、父親がBrugada症候群と診断されており、
既に植込み型除細動器を付けているという症例を2例
経験した。
※1例は既に退院し、紹介済み。
1例はまだ入院中だが専門医への紹介はしない予定。
※Brugada症候群は、
心電図上の特徴的なST部分の上昇と、
心室細動による突然死をおこす疾患群。1992年スペインのBrugada兄弟によって報告されて以来、
Brugada症候群と呼ばれるように。失神や心肺停止、心室細動の既往がある人を症候性Brugada症候群と呼び、
検診などの心電図検査で発見され、
症状のない人は無症候性Brugada症候群と呼ばれる。
問題は、
赤ちゃんについて、どのようにフォローすべきなのか?
ということ。
まず、一例目は赤ちゃんも男児ということで、
(男性に圧倒的に多い)
循環器専門医に紹介した。
その返事には、
・心電図を施行したが異常はなかった
・だが、Brugadaの場合、成人以降に特徴的な心電図となるため、
判断が難しい
・父は孤発で遺伝子変異も特に同定されていない
・児に対しての遺伝子検査の適応は無い
・現時点では児には病名はつかない
・フォローアップは不要
・学校心電図検診で再検可能
という内容だった。
この返信内容と、疾患の概要から判断すると、
よほど親が遺伝子検査などを希望しない限り、
出生後すぐに専門医に紹介するようなケースは
ないと考えられた。
2例目は赤ちゃんが女児であり、
さらにリスクは低くなる。
こちらも家族歴も孤発例のようだし、
概略を説明して専門医への紹介までは
必要ない、ということになるだろう。