2018年11月12日月曜日の日常診療メモ。
1.21トリソミーと大動脈二尖弁
母は40歳初産。
人工妊娠。予定帝王切開で出生。胎児期には異常は指摘されず。
特徴的な顔貌(眼間乖離、鼻根平坦、外眼角斜上)をしており、
さらには短めの四肢、筋緊張の低下を認める。
21トリソミー=ダウン症候群疑い。
血液検査ではTAMは否定的。
超音波検査で、長軸像での大動脈の見え方に違和感。
通常は見られないカラーが乗る。
弁上狭窄があるのか??
だが、血流の加速は無し。
ASならば、通常血流が1.5~2.0m/s以上になるはず。
逆流も無い。
だが、弁構造は二尖弁の疑いあり。
fish mouthのような所見は確認できないが、
斜めにずれて見える。
また、円形に見えるはずの大動脈が楕円形に見える。
正常の三尖弁のベンツマークも見えず。
二尖弁については、今後AR、ASの所見が出てくる可能性もあり、
フォローが必要だろう。
退院後に染色体検査が必要になるので、併せて紹介。
2.趾列内側偏位
初回診察時に、足のゆび、4番、5番が内側に偏位している児がいた。
これは専門的には「趾列内側偏位」と呼ぶようだ。
3.新生児サイトメガロウイルス感染症を尿検査で
サイトメガロウイルスについては、
スクリーニングしている施設もあれば、していない施設もあり、
一定のガイドラインは無い状態。
今回の母親は産婦人科領域に知識の深い記者らしく、
自身で生まれてくるベビーの検査を希望している。
出生後に尿検査で調べることになる。
4.メルカゾールと頭皮欠損症・頭蓋骨欠損症
日本甲状腺学会のホームページには次の記載がある。
妊娠初期にメルカゾールを飲んでいた95人の妊婦さんのうち,
妊娠初期(12週位まで)にずっと続けて飲んでいた人たちの中の5人の赤ちゃんに,
臍腸管遺残や臍帯ヘルニアなどという,‘臍(へそ)’に関連した異常と,
頭の皮膚の一部分が欠損している異常(頭皮の欠損)がみつかりました
一方で、メルカゾールの服用とは関係なく、
頭皮欠損のベビーは生まれてくる。
皮膚欠損は頭部に好発し、毛髪が生えておらず、
脂線母斑のようなボコボコした外観でもないため、
診断自体は容易。
だが、今回の児は毛髪が無いうえに、皮膚が隆起しており、
その部分から超音波を当てると、エコーが内部まで
通っており、頭蓋骨欠損もあるようだ。
今回は、形成外科ではなく脳外科に紹介することになる。