2018年11月14日水曜日。
日常診療メモです。
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何故21トリソミー、18トリソミーが多いのか?
染色体異常があり出生まで至るケースとしては、
21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーの
頻度が高い。
21トリソミーつまりダウン症候群は非常に有名な症候群であり、
一般の方にも認知度が高いと思われる。
では何故、これら21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーが多いのか?
それは染色体上にある遺伝子数の差が原因。
遺伝子数は少ない順に
21<18<13
となっています。
そして、
遺伝子数が通常の1.5倍になると、
細胞の機能に影響を及ぼす
ことが分かっており、
これはつまり、
遺伝子数が少ない方が影響が少なく、
生存が可能となる
ことを表している。
大動脈縮窄症(Coarctation of Aorta)の成因
1.Flow説
大動脈血流の減少。時に反対向きに。
2.Ductal Tissue説
生後の動脈管組織の収縮によって縮窄を作る。
よって生後すぐには予測困難。
大動脈縮窄症は胎児期、ならびに出生後も診断が難しい先天性心疾患。
これだけは胎児期のスクリーニングがしっかりしている施設であっても、
決して楽観視してはいけない。
MAS(Meconium Aspiration Syndrome)の発症頻度
羊水混濁は全出生の約10%に認められる。
そのうち、MASに至るのは2%。
つまり、MASは全出生の0.2%。
500人に1人。
フランスでの2000年代の研究では、
MADの発症頻度は、
在胎37~38週・・・0.11%
在胎39~41週・・・0.20%
在胎42~43週・・・0.49%
との結果が出ており、在胎週数が長くなるほど、
MAS発症率は上昇する。
因みに、
MASの6割は酸素投与のみで軽快し、
4割はN-CPAPあるいは人工呼吸管理が必要となる。
NICU勤務時代はMASは珍しい疾患で無いという認識でいたが、
実際にNICUに入院になるような症例は、
全出生の中では極々稀な頻度であるし、
実際に今の施設(ほとんどが正期産児を扱う)では、
MASと診断する症例はほとんどいないことを実感として得られている。